この記事の概要
ChatGPTの出現で人類を統治する世界が訪れるようです。人工知能は人類の最後の発明となり、それ以後の発明はすべて人工知能が生み出すものとなることが予測できます。人類は神によって創造されたという神話や宗教書には記されていますが、本当のところは、神は人間によって創造された可能性があるのです。
チャットGPT
2022年の年末に人工知能の研究に特化したオープンAIという研究所が、チャットGPTというチャットロボットサービスを発表しました。発表日のわずか5日後、登録ユーザー数は100万を超えました。1か月後のアクティブユーザー数は1億人を記録したのです。
インスタグラムは、100万人のユーザー数を達するのに2ヶ月半を要しました。フェイスブックは10ヶ月です。ツイッターは2年間もかかりました。チャットGPTは、何故これだけ人気や注目を集めたのでしょうか。
このチャットロボットが誇る能力は、極めて自然に人間と同じようなニュアンスで喋り綺麗な文章も作成できるのです。ほぼ完璧な翻訳までもこなしてくれるという他では見られないほどのアウトプットを提供するものだからです。
このチャットGPTは、人間のように自然な言葉で喋ってくれる文章作成機能だけではありません。チャットGPTは第4次産業革命や次の技術的特異点の引き金になり得る可能性があります。
これによって日々の生活や社会全体は近いうちに大きく変わっていくでしょう。チャットGPTは一体何ができるのでしょうか。またそのメカニズムは何なのでしょうか。人工知能が主役になった新しい社会は、人類にどのような影響をもたらすのでしょうか。
チャットGPTはただの言語ロボットではありません。チャットGPTの本当の凄さは、言葉に関する機能では、違和感なく人間のように会話ができることです。質問に対する回答は、限りなく精度が高く自然な翻訳ができます。
チャットGPTに東京大学入試問題の物理を解いてもらうことにします。物理の問題を解いてくれるかを聞いてみます。「できます」と答えてくれたので、東大のホームページからダウンロードした2022年の東京大学入試問題の物理の1問目をチャット画面にコピペして、チャットGPTに解いてもらいました。
チャットGPTがこの問題に回答するのにどれくらい時間がかかったのか計ります。わずか36秒でチャットGPTは、この問題が求める2つの値を出してくれました。チャットGPTの回答を照らしわせてみたところ、正解でした。
「このAIは日本語で書かれた問題が本質的に何を要求しているのか。問題に含まれているいくつかの物理量の間にはどのような関係があるのか。どのように計算すれば求められている値を導くことができるのか。」このようなことを全て理解しているように見えます。
これは現段階で公開されているどの人工知能サービスにもできないことです。人間でさえ普通なら高校までの教育を受けないと、この問題を解くことはできません。
AIの進化
全くの素人でもAIを利用すれば自分の知らない領域の問題を解ける時代に入ったのです。肉体を持った人間が数十年の勉強や訓練を積んでからやっと出せる成果をAIはたったの数十秒で解けてしまう時代です。
AIの進化は、「とうとうここまで来たのか」と思えるほど予想より早く訪れました。1969年アポロ11号月面着陸から50年以上が経過しましたが、あれから普通に月旅行ができるほどの進化がないのは何故でしょうか。
チャットGPTは、言語に特化した人工知能に大量のテキストを与えるとします。これらのテキストは、主にウェブサイトブログ記事、書籍などに含まれている文章です。人工知能は人間の補助なしでこれらのテキストに含まれている内容の関係性やパターンなどをひたすら勉強し訓練します。
訓練を終えた後、人間はこの人工知能に話しかけます。人工知能はトレーニングで学び取った習癖に基づいて最適な返答を生成します。そして、それを人間に返すのです。
ここで人間の補助が入ります。もし人工知能が間違った返答をした場合、人間は「それは間違っている」という意見を提供します。
人工知能はその意見によって返答の精度を上げていくのです。このような過程の繰り返しを経て最終的には、人間と会話ができるチャットロボットが誕生します。
人間との会話の過程において、実は人工知能は終始会話の意味を理解していません。ただ習得したパターンによって最適な解答を生成するだけです。
このメカニズムは秘密ではありません。やろうと思えば、ほとんどのテクノロジー企業が実現可能な技術です。しかしながら、出来上がったチャットロボットの会話の質が低い点にあります。
チャットGPTの優れた点
同じようなメカニズムでできたチャットGPTだけがなぜこれだけ優れているのでしょうか。
その理由は2点あります。一つ目は訓練に使ったテキストデータの量と質です。チャットGPTを作ったオープンAI研究所は、高いクオリティと多様性に富んだとてつもないほどの量のテキストデータを人工知能に与えることによって、別次元に高い成果を発揮する言語モデルを完成させました。
二つ目はチャットGPTを作る際に用いられた特有の訓練技術です。これらの技術は、オープンAIが長年の研究と開発によって蓄積してきたものであり現段階では業界のトップレベルの独壇場です。
チャットGPTが誕生する前からオープンAIは、すでに数多くの人工知能プログラムを発表していました。イーロンマスクがオープンAIの創始者の一人であるのも大きく関係するかもしれませんが、優秀な人材と潤沢な資金によるバックアップを受けて数々の優秀なAIが生み出されています。
東京大学の物理の問題に対する回答は、多くのうちのごく一部でしかなく、チャットGPTは、多くの場面で高度な仕事をこなすことができるのです。例を挙げると、小説やニュースの原稿を含めた多岐にわたる文章の作成、翻訳データ解析、簡単な作曲、医療診断などです。
中でもチャットGPTは、プログラミングもできるという点があります。基礎的なプログラミングならチャットGPTは短時間で完成できます。チャットロボットであるチャットGPTは、チャットロボットをも作れるのです。
その作られたチャットロボットは、数年前であれば大手企業が作ったものと匹敵するほどの品質です。現段階では、まだ試験期間であることを考慮すると、その未来はさらに期待できるようです。
検索エンジンは時代遅れ
チャットGPTがネット社会において、完全に浸透してしまうと人々がGoogleを使う頻度は落ちることが予想されます。何かの問題を解決したいとき、何か調べたいものがあるとき、今まではキーワードをGoogleに入力した後に、表示される様々な情報の中から自分で必要な情報をピックアップしていました。
ところが、チャットGPTの場合、調べたいことや行なってもらいたいことを普段の言葉で入力すると、その答えがすぐに返ってきます。自分で調べる手間を省けるだけでなく、Google検索では解決できない問題でさえ簡単に解決してしまうのです。
現段階のチャットGPTは、2021年までのデータで訓練を受けていることから、それ以降に起きたことに関する回答はできません。これもあって現段階ではGoogleは、まだ利用する価値がありますが、いつかチャットGPTがリアルタイムのデータも取り込むようになればGoogleのような検索エンジンサービスは時代遅れのものになってしまいます。
ユーザーたちはチャットGPTのようなサービスを利用することによって、Webページを開かなくても情報を手に入れることができます。ほとんどのユーザーの情報収集の手段が、このように変わればGoogleを含む全ての検索エンジンの収益は激減してしまいます。
Googleをはじめとする世界中のハイテク企業はこの状況を誰よりも理解しています。そこで、チャットGPTに対抗できる人工知能を開発します。
そこで、Googleは自社が開発したバードというチャットロボットの発表会を開きました。このバードはGoogleのラムダという言語モデルをベースにしたチャットロボットです。
ハイテク企業の代表であるGoogleが、どのようなチャットロボットを打ち出してくるのかと世界中が注目していました。デモンストレーションの中でいくつかの質問に対するバードの回答の中に間違った情報が入っていました。
史上最高額のミスを犯したバードですが、Googleは必ず総力を上げてそれを完璧に仕上げてくるはずです。他のハイテク企業も似たようなサービスを開発し始めているので人工知能の進化はこれからさらに加速していくに違いありません。
最近ではチャット GPTを超えたとも言われるマイクロソフト社のBingチャット拡張機能がさらに進化したものとして話題になっています。
チャットGPTが普及したら、近い将来の社会がどのように変化していくのでしょうか。どのような職業が痛手を被るのでしょうか。チャットGPTはプログラミングができます。その能力はかなりのハイレベルに達しています。チャットGPTは、Google社のプログラマーの入社試験の3次筆記試験まで合格できる実力があるようです。
仕事が奪われる
実験的な状況だけではなく、現場レベルにおいて迅速かつ高精度のプログラミングができるので、プログラマーたちはすでに毎日チャットGPTを使って仕事をしているとのことです。そのためチャットGPT以上のプログラミング能力を持たないプログラマーたちは、不要とされる可能性があります。
チャットGPTの英訳はほぼ完璧です。高額な料金と長い納期が必要だった翻訳者の仕事は、チャットGPTのおかげで、誰でも完璧な英訳を無料かつ短時間で実現できてしまうようになりました。
英語以外の言語に関しては、英訳ほど完璧ではありませんが、ビジネスや日常生活のフィールドでは十分に通用するレベルに達しています。チャットGPTが登場してわずか数ヶ月の現時点でも翻訳者たちの仕事は減退するようです。
海外の新聞社がすでにチャットGPTで報道の原稿を作り始めているようです。広告会社も広告の草案をチャットGPTに任せているところがあるとのことです。
チャットGPTのようなサービスがさらに発達した時代では、カスタマーサービス、秘書、教師、トレーダー、データ解析士、デザイナーなどの職業も淘汰されることになるかもしれません。
今までは、人工知能は単純な頭脳労働しか奪わないと考えられていましたが、あらゆる仕事について影響を及ぼすようです。人類の科学技術の発展は指数関数的に加速しています。
産業革命以前の時代はまだ上昇期ではなかったため、科学技術の発展による生活の変化をそれほど実感しませんでした。ところが、現在は、加速上昇の段階に来ています。
シンギュラリティが早まる
その意味で人類は、技術的特異点（シンギュラリティ（Technological Singularity））の出現を迎えているのです。特異点というのは物事が限界に達する臨界点という意味合いがあり、人間の知能を上回ることが予測されます。この限界点を超えた後に起こるであろう事象については、誰も予測ができません。
チャットGPTが出現する前から次の特異点は、人工知能によって2045年くらいにやって来ると言われていましたが、チャットGPTの登場で特異点は2045年よりも、もっと早く訪れる可能性さえ出てきています。
いつの日か、人間と同じレベルの思考能力を持つAIが誕生すれば、その人工知能は人類が今まで生み出した全ての知識と習得技術を短期間で習得できるでしょう。
さらに、AIはこれらの知識を永久に記憶し、その高い計算処理能力によって蓄えられた知識からどんどん新しい知識と習得技術を生み出すことができます。
AIが持つ超人的な力は、次の技術的特異点をすぐに誕生させることになるでしょう。新しい特異点の誕生に必要な時間もさらに短くなっていきます。その時、人工知能は人類の最後の発明となり、それ以後の発明はすべて人工知能が生み出すものとなることが予測されます。
人類は神によって創造されたという神話や宗教書には記されていますが、本当のところは、神は人間によって創造された可能性があるのです。
今後、人工知能が統治支配する世界になるのかは分かりませんが、技術の進歩によって、大きな問題が人々に襲いかかってくる可能性は否定できません。
参考文献：ユーチューブ、【ChatGPT完全解説】人類社会はこれから激変します！
URL＜https://www.youtube.com/watch?v=jB8e4RVuwec＞アクセス日：2023年4月5日
まとめ
チャットGPTは第4次産業革命や次の技術的特異点の引き金になり得る。
人類は、技術的特異点（シンギュラリティ（Technological Singularity））の出現を迎えている。
知識を永久に記憶し、高い計算処理能力によって蓄えられた知識か新しい知識と習得技術を生み出すことができる。
人工知能が統治支配する世界になる。