南北連絡所電撃爆破の狙いは

南北連絡所電撃爆破の狙いは

  • 2020年6月18日
  • 2020年7月19日
  • 社会

この記事の概要

南北連絡所電撃爆破の狙いは緊張状態を朝鮮半島につくり出すことによって、アメリカとの経済制裁解除の交渉を有利に持っていくとが考えられます。南北合同連絡事務所は文在寅大統領の北朝鮮政策の象徴的な存在でしたが、経済制裁の解除に進展しないため北側は大変憤っていました。これらを理由に、連絡事務所の爆破と非武装地帯への軍の侵入をすることで金与正が実績をつくったのです。


南北合同連絡事務所の爆破

2020年6月の16日南北の国境線上にある南北合同連絡事務所が、突然爆破されました。この爆破は、3日前に金与正により予告していたのです。その予告通り爆破が行われました。なぜ北朝鮮そして金与正は、突然、半島を緊張させているでしょうか。その答えの一つは、おそらく金与正の実績づくりだと思うのです。
金与正は、北のナンバー2と言われています。金正恩の存在が定かでない現在は、北のナンバーワンとしての軍事的な実績をつくろうとしているのではないでしょうか。
爆破された南北連絡事務所は、いうなれば韓国の大統領文在寅の北朝鮮政策の象徴のようなものでした。
文在寅が、これまで数年かけて行なってきた北朝鮮政策の大きな成果が、この連絡事務所だったのです。それが吹っ飛ばされたわけです。
2018年4月に、文在寅と金正恩の会談が行われ、板門店宣言の中で決まったものがあります。この中で決まったことは、国境沿いの北側にある開城(ケソン)の工業団地に、南北連絡事務所を置くことでした。
そのために168億ウォン、日本円で約15億円を韓国の税金から出してるのですが、既に、爆破されてしまいました。
もともとこれ何のために造られたかというと、南北の当局者、政府間の交渉や協議南北の民間交流を支援するためです。週に一回、定期的に協議が行われたようです。

北朝鮮政策の象徴

ウイルス騒動が始まってからも、電話で必ず協議することになっていました。文在寅大統領にとっては、これは非常に重要なもので、文在寅大統領の言葉として南と北が会いたいときにいつでも会えるよう造られました。まさに文在寅大統領にとっての北朝鮮政策の象徴的な存在だったわけです。
この肝煎の象徴的な建物が爆破されたのです。これに関して、6月17日、韓国の新聞中央日報の日本語版に記事が出ていました。「ハノイで恥辱を受けた金正恩、その日の怒りが板門店宣言爆破させた」という見出しでした。
2019年2月、ベトナムハノイで行われたトランプ大統領と金正恩委員長の米中首脳会談は、物別れに終わりました。この連絡事務所は、交渉の場や協議の場ではなく、北側の不満の表示の手段になったと書かれています。この建物の爆破に至った原因は、昨年2月のハノイの物別れから始まってることが書かれています。
6月9日、韓国側からビラの散布がありました。韓国の脱北者団体が、北朝鮮の人民に対して風船にいろんな情報を入れて、ビラを頒布(はんぷ:広く分けて配り、行きわたらせること)するという事件です。これはもう随分前から何度も行われていました。特に6月9日のビラの頒布がきっかけとなって南北間の連絡を完全に遮断すると金与正から通告があったのです。
これをもって、この連絡所は、機能しなくなったのです。完全に交渉・連絡は遮断されました。中央日報の記事の中では、これまで文在寅大統領の働きによって南北間が前進したかに見えていました。しかし、今回のこの爆破の意味は、南北関係が過去に戻っただけではなく、史上最悪の状態になったとも言えるのです。もしかしたら、これから武力的な衝突が起きるかもしれません。

軍事境界線

爆破の3日前に金与正が予告していました。金与正の声明は次の通りです。
「用のない連絡事務所が、跡形もなく崩れる悲惨な光景を目にするだろう。南朝鮮当局者は、われわれとは何もできなくなったができることは、後悔と嘆きだけだろう」と。
公表された言葉は、もちろん金与正自身が書いているわけではありません。スピーチがライターが当然いて、その人たちが書いてるいます。さらに、6月13日、金与正の声明の中でもう一つ重要なことがあります。それが「軍事境界線への進入の準備を命令した」ということ言ってるのです。「38度線の軍事境界線へ侵入する準備をしろ」と命令をしました。
朝鮮人民軍が、軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)に侵入する準備ができていると警告しています。まだ侵入していませんが、侵入する準備ができているというのです。
非武装地帯DMZとは一体何なのでしょうか。
非武装地帯 (DMZ)(ひぶそうちたい、DeMilitarized Zone)は、軍事用語および概念の「非武装地帯」から転用されたコンピュータネットワーク用語(セキュリティに関連はあるが、特に「セキュリティ用語」ではなく、ネットワーク構成一般に適用できる語である)で、プライベートネットワークなどとインターネットを、論理的には接続しながらも隔離により内側の安全性を高く保ち、また、公開ウェブサーバなどに関して外側からのアクセスと内側からの管理の利便性を両立させるなどの目的で、両者の中間に「非武装地帯」として設けられるネットワーク領域のことである。
引用元:ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 最終更新 2020年4月20日 (月) 15:14 (日本時間)現在での最新版を取得。
これは1950年です。1950年から始まった朝鮮戦争が3後に休戦になっています。この休戦協定の後に、南北の境界線に設定されたものです。この非武装地帯DMZを文在寅政権は、平和地帯にしようと提案したのです。
しかしそこに軍を入れると金与正は、命令を下しました。これはまさに、文在寅のこれまでの成果をことごとくゼロにすることを意味しています。
6月13日の金与正の声明で、はっきりと言っています。「韓国と確実に決別する時だ。ゴミはゴミ箱に捨てなくてはならないと」と述べ、明確な態度を表明しています。

厳しい態度を取った理由

金与正が厳しい態度を取るに至ったのは、突飛なことなのか、それとも原因があるのかということで一応考えられる大義名分があります。
一つは、この2018年の南北首脳会談です。文在寅大統領と金正恩委員長との会談の中で、文在寅大統領は、脱北団体が北に送ってきたビラが境界線を越えて飛ばないようにすると約束しました。
この約束が守られていないのは確かです。だから怒っても仕方ないというのは言えるかもしれない。しかしもっと大きな原因は、トランプ政権が北朝鮮への厳しい経済制裁を解こうとしなことです。
それに対して文在寅が反対しないことを北は、憤っているのです。文在寅大統領が、「アメリカへ何とか説得します」と言っていたのですが、言ってることと現実が違うということで怒っています。
そのような意味では、原因は、文在寅政権にもあると言えます。この緊張状態を朝鮮半島につくり出すことによって、アメリカとの経済制裁解除の交渉を有利に持っていくとが北側の狙いです。
ただどうもそれだけではないのではないかというのが、中央日報の取材による記事でした。
この一連の動きというのは、北の用意周到があったと思われています。この動きの1か月以上前、5月の3日に先ほどの非武装地帯DNZで北朝鮮軍が突然韓国側に発砲する事件が起きています。理由は不明で一時的に銃撃戦になっています。死傷者は出ていませんが、このような銃撃戦がこのDNZで起きたのは過去5年間で初めてでした。
5月3日の前日に金正恩が、二十日ぶりに姿を現しています。金正恩の死亡説が流れている中で、二十日ぶりに姿を現した映像を出しているのです。
その翌日に、北朝鮮は事件を起こしています。その後に、たまたまかどうかわかりませんが、ビラの頒布があり、それに対して北が怒って、「南北の交渉は一切やらない、連絡遮断だ」と言った後に、連絡事務所の爆破と非武装地帯への軍の侵入の準備が行われました。
中央日報によると、この一連の流れこれは、用意周到ではないかと考察しています。
つまり、風船にビラが入っていたので、それで怒ったってわけではないのです。この記事の中で、韓国の議会の野党の議員さんのコメントを出しています。
「金与正が女性ということで見下げられる雰囲気が今まであったが、この事務所を爆破で北のナンバー2であると立証した日になった」と
女性であるということで見下げられていた雰囲気がありましたが、この事務所爆破によって、これが軍事的な実績として名実ともにナンバー2になったという日ではないかということです。
これで一つ言えるのは、北朝鮮の指導者になるためには、軍事的な実績がいるということなのです。お父さんが指導者だからといって、そのままエスカレートですぐに次の指導者になれるわけではありません。北は軍事国家なので、北の軍隊のトップにならなければなりません。
そのためには、指導者になる前に、軍事的な実績が必要なのです。これまでの北の3代の指導者全員に言えたことです。金正恩の場合は、指導者になる前、2010年北朝鮮は、韓国の哨戒艦を撃墜した事件が起きています。これを命令したのが金正恩であることになっています。
延坪島(ヨンピョンド)の砲撃事件もありました。韓国軍の死者も出ていると思いますが、金正恩が指導して命令して行った実績だということになってるのです。このように事前に公言をしたことを実行してこそ、北の内部、軍隊、国民もついてくるのです。その意味において、今回の出来事は金与正の実績づくりなのです。
北のナンバー2として、もしくは北のナンバー1ということが言えるかもしれません。この後さらに6月25日には、韓国の脱北者団体が次のビラ散布を予定しています。これがもし実行され後、どうなるのでしょうか。北側が当然射撃してくる可能性があります。これがきっかけとなって、第二次朝鮮戦争も考えられてくるのです。

参考文献:ユーチューブ:金与正 真の狙いは?南北連絡所 電撃爆破【及川幸久−BREAKING−】
URL<https://www.youtube.com/watch?v=-_R8w0aR-ZA>アクセス日2020年6月18日

まとめ

南北合同連絡事務所は文在寅大統領の北朝鮮政策の象徴的な存在だった

アメリカの経済制裁の交渉に文在寅が役に立っていないことへの憤り。

緊張状態を朝鮮半島につくり出すことによって、アメリカとの経済制裁解除の交渉を有利に持っていくとが北側の狙い。

連絡事務所の爆破と非武装地帯への軍の侵入は、北のトップとしての金与正の実績づくり。


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